発行物紹介

introduction

典ソハ

成人向

満たして、もっと

R18の短編集。
「出られない部屋」「睡眠姦」「騎乗位」「触手」「無理やり」の5本を収録。
内「出られない部屋」は2023年発行のコピー本「白い部屋の中」の再録です。

いろいろなえろを詰め込みました。雰囲気もいろいろです。シリアスも含みます。
付き合ってたり付き合ってなかったり無理やりだったりします。

イベント頒布価格1200円

A5 / 110P

2024年5月5日発行

現在頒布中

満たして、もっと サンプル

SAMPLE

白い部屋の中(出られない部屋)
双方向性の限りない熱(睡眠姦)
兄心と刻印の小箱(騎乗位)
鉢のしたの根(触手)
器(無理やり)

白い部屋の中

出られない部屋
※2023年発行コピー本の再録

「白い部屋、という話を知っているか?」
唐突に、ふと思い出したように尋ねられ、ソハヤノツルキは眉をひそめて声の主へと顔を向けた。
「兄弟、それは今話題にしなきゃいけないことか?」
「……ああ」
隣に並び立つ大典太光世が、と赤い目をひたりと合わせてくる。この状況で聞くことだろうかと思いながら、ソハヤは首を傾けてしばし記憶を掘り起こしたあと、その首を横へ振った。
「聞いたことはねえな。鈍色の部屋なら、目の前にあるが。まぁ部屋かどうかはわからねえけどな」
言いながら前を向けば、そこには鈍色の広い空間がある。己たちの足元から続く鈍色は果てしなく遠くまで続いているようであり、けれど二振り分しか空間のない小さな箱のようにも思えた。果てがないわけではないので、この空間を指して部屋とも言えるのかもしれない。
「兄弟はこの空間がその白い部屋、っていう話と似ている、って言いたいんだろ? その白い部屋ってのはなんだ?」
「先程の演練のときに聞いたから、俺も詳しいことは分からないが……」
「ああ、そういえば最後の演練のあと、あっちの隊長と話してたな」
今日はソハヤと大典太は久しぶりの演練だった。刀剣の数が増えるにつれ出陣や遠征、演練に出る回数は少なくなっていく。主の意向で定期的に出陣の機会が与えられているとはいえ、特に演練は極部隊で出ることが多いため、極めていない己たちが出るのはかなり久しぶりだった。
演練で戦った部隊に珍しく己たちの同位体がいて、ソハヤは大典太と、大典太はソハヤと戦ったのは、つい先程のことだ。こちらの部隊の勝ちで終わったその戦いのあと、隊長を任されていた大典太はあちらの隊長である三日月となにやら話し込んでいた。ソハヤは大典太と同位体と話していたため、なにを真剣に話していたのかは分からなかったが、そのときに白い部屋の話を聞いたのだろう。
そして話も終わり、本丸へ帰城するために部隊の最後について転送門をくぐったら、何故か二振りだけこの空間にいた。前を歩いていた仲間たちの姿は見当たらず、後ろを見ればくぐってきたはずの門もどこにもない。
「三日月によれば、今、その白い部屋という怪異が流行っているらしい。出陣や演練、万屋へ出たり、本丸へと戻る際に門をくぐると、何もない白い部屋に飛ばされ、閉じ込められる」
「今と同じだな」
違うのは色だけだ。白い部屋が模様替えでもしたのだろうか。鈍色の空間は見ているだけでも身体がぞわぞわとする。
「これは怪異か?」
「政府は調査中、と言っていた。だが三日月は怪異だと」
「まぁ、空間捻じ曲げて接続してきてるんだから、普通じゃないよな」
門がどのようにして別々に存在する空間同士を繋げているのかはソハヤには分からない。刀剣男士が過去に出陣できる技術も今の技術はすごい、という程度しか分からない。だが、時代や空間を繋ぐ門が別の空間へ強制的に繋げられるというのは、非常に危険であることは分かる。
「この空間が白い部屋と同じかはわからんが、似ているのなら脱出方法も同じ可能性が高いな。兄弟、三日月から他になにか聞いてないか?」
なんの変哲もない空間ではあるが、早く出ていくに越したことはない。三日月から聞いた話の中に脱出方法があれば、それを試してみる価値はある。
「気をつけろとは言われたな。あと脱出方法は………」
大典太が上を見る。つられてソハヤも上を見るが、何もない。目を凝らしてもただ鈍色が広がるだけで、脱出手段らしきものは何も見えなかった。首が疲れてくる。
「上に行くのか?」
「いや……ああ、出てきたぞ」
あそこだ、と大典太が指をさす場所に、じわりと黒が滲む。ぞわりと背を何かが這い上がっていくような不快な気配がして、けれど黒い模様から目を離せなかった。墨を紙に垂らしたような模様は、しばらくすると徐々に形を変え、文字を浮かび上がらせる。
「……」
浮き上がってきた文字に盛大に眉をひそめたソハヤの横で、大典太が顔色ひとつ声音ひとつ変えずに呟く。
「お題をこなせば出られるらしい。白い部屋、通称は出られない部屋、だそうだ」
言い終わるころには、鈍色の空間は真っ白な四角い部屋に変わっていた。

白い部屋、というのは数年前から話を聞くようになった、不可思議な現象のことである。
大典太が三日月から聞いた話はこうだ。
最近、出陣や万屋への遣いなどで門をくぐるときに、稀に白い部屋に出てしまうことがある。行きも帰りも関係なく、門をくぐると突然白い部屋にいるらしい。その部屋に飛ばされる人数は必ずふたり、もしくはそれ以上。刀剣同士が圧倒的に多いが、中には審神者と刀剣の組み合わせで飛ばされるものもいる。一人での脱出報告はないので、ふたり以上で門をくぐるのが発動条件のひとつだと考えられているらしい。飛ばされる刀はソハヤと大典太のように兄弟だったり、初めて部隊が一緒になったもの同士だったりと、共通点は見つからず関係性は様々で、そこは無作為のようだ。
その白い部屋には出口や入口のようなものは何もなく、完全密室である。大太刀が斬りつけても傷ひとつつけられず、霊力や審神者の呪符をぶつけても壊れることはない。最初は真っ白な箱のような空間だが、しばらくすると天井付近に文字が出てくる。それは部屋を出るための条件だ。文字が浮かぶと同時に、部屋がその条件をこなすために最適な場所へと変わる。その部屋で条件を満たせば扉が出現し、その扉をくぐれば最初の門の前に戻っているという。
部屋一面が白いので白い部屋と呼ばれているこの現象は、通称出られない部屋と呼ばれている。条件を満たさないと出られないからと審神者がつけたらしい。そんな現象が、ここ数ヶ月の間に流行り始めた。一年ほど前から報告回数が増え、最近では二週間に一組は必ず被害にあうようになり、審神者間や刀剣間での情報交換や交流時に話題にのぼるようになってきた。脱出方法が確立されているのだからと危機感は薄い。
政府も白い部屋の危険度は高くないとしていた。出される条件も、心理的な負担はあるにせよ物理的には難しいものではないので、危険度の高いものを優先するのは当然である。しかし審神者や刀剣の間で噂が広まったために、ここ一月ほどで本腰を入れての調査が行われるようになった。しかし、まず白い部屋に遭遇しないと調査ができないためあまり調査は進んでおらず、審神者や刀剣へは注意喚起しかできないらしい。
「……あの三日月の本丸は、政府所属の特殊な本丸らしい。演練等で出会う刀に、注意喚起をしていると言っていた。脅威はないという楽観視は危険だと」
「なるほどなぁ。脱出条件が簡単で、巻き込まれた全員が脱出してるから被害はないと思いがちだが、脱出できないやつは報告もできないから被害報告が上がらない、ってやつか」
今までも怪異や遡行軍の介入、不具合などで、たしかに門をくぐった形跡はあるのに、転送先に現れなかった刀や審神者がいるという話は聞いたことがある。そのうちの何割かはもしかしたらこの白い部屋の被害にあったものかもしれない。被害報告がないことにはそれを証明することはできないが、可能性は十分にある。
「この部屋に飛ばされてから霊力がざわざわしてんのも、そのせいかねぇ」
「おそらく」
「端末も圏外だし、中から連絡して救難信号を出すことも無理か」
「……条件を満たして脱出する他はないようだな」
「だなぁ」
ソハヤは部屋の天井付近へと視線を向け、もう一度文字を読む。浮かび上がった条件はひどく簡単なものだった。
「瓶の中身を飲み干せ、か」
視線を下にずらせば、簡素な机の上に四本の小さな瓶が置いてあった。条件に気を取られているうちに、いつの間にか出現していたものだ。瓶だけではなく、気がつけば鈍色の空間は白い部屋に変わっていて、導入は違ったがやはり噂の白い部屋だということが証明された。
白く囲われた部屋には様々な家具が置かれていて、特に変な気配はしなかったので、ソハヤと大典太はとりあえず部屋の中央にある大きなベッドへと座って状況を確認していた。
「絶対怪しい薬だろ、それ」
「だが、飲み干さねば脱出はできないぞ」
「そうなんだが」
怪しい部屋にある瓶の中身が怪しくないことはあるだろうか。顕現してから今までに聞いた話や見てきた書物から導き出される答えは、否、である。怪しい部屋にある怪しい瓶の中身は、だいたいが怪しいものだ。毒薬、とまではいかなくとも、劇薬である可能性はあるのだ。
とはいえ、飲み干すしか脱出できないのも事実である。脱出方法が明確にわかっているのならば、ここに留まり続けるのは愚策だ。早々に脱出すべきと頭では分かっていても、どうにも気乗りしなかった。
「……兄弟、なにか気になるのか?」
「いや、そういうわけじゃあないんだが。飲み干したとして、無事に帰れる保証はあるのかと考えてた」
「白い部屋であれば、帰れるだろう」
「救助を待つって手もあるぜ?」
このままここで救助が来るのを待つことも選択肢としてはある。演練会場の帰りに消えたのだ、きっと本丸から政府へ連絡が入り、探してくれるだろう。政府に見つけられるのかどうかは分からないし、この部屋と外の時間の流れが同じとも限らない。だが、刀剣男士はある程度であれば飲まず食わずでも生きていけるうえ、幸いにして己たちはどちらも待つのは得意だ。兄弟とであれば待つ時間も退屈ではない。

「んっ……! ぁっ……!」
ぐちゅぐちゅと、あらぬところからあらぬ音がする。その音に頭を振れば、音の出処である後孔に埋め込まれた指がさらに強く内壁を擦った。思わず中を締め付けると、骨ばった指の形とその熱さをまざまざと感じてしまい、羞恥に顔が熱くなる。
ソハヤを押し倒した大典太は性急だった。少し乱暴な手付きで互いの防具を外してベッドの外に投げ捨てると、下着ごとスラックスを膝まで脱がされた。中途半端に脱がされた状態では身動きも取れないため、タンクトップの裾から入り込んできた大典太の手が肌を撫でる感覚に気を取られながらも、自力でスラックスを脱ぎ切る。
腹のあたりを撫でていた手は、目的を持って胸に伸びた。指の平が突起を見つけ、ぐりぐりと押されたり摘まれたりと、まるでおもちゃで遊ぶように弄られる。同時に足を開かされ、中心に冷たくどろりとした液体が垂らされた。驚いて大典太を見れば、媚薬が入っていた瓶に似たものを持ち、ソハヤの中心を濡らしていた。液体は下生えを濡らし、肌を伝って臀部にまで落ちてくる。それなに、と問いかける前に、後孔の入口に液体が塗り拡げられた。
身体を開かれるのは初めてなので、緊張と未知への恐怖に身体がすくむ。僅かにこわばった身体に気づいた大典太が顔を上げ、視線が絡み合った。大典太の顔を見て、少しだけ力が抜ける。
兄弟、と熱を孕む声が落ちてくる。大典太が話すたび、呼吸をするたびに甘い匂いが強くなり、頭がくらくらとする。慣らすぞとの言葉と共に指が埋め込まれた。
液体を纏って入り込んでくる指はごつごつとしていて、中で出し入れされても苦しさや違和感の方が強かった。だが何度か中を擦られていると妙な気分になってくる。そしてとある一点を指の平が押しつぶしたとき、身体の中心を衝撃が走る。ひぁ、と高い声が出てとっさに口をふさぐが、大典太にははっきりと聞こえていたらしい。めったに動かない大典太の口角が上がっていくのを見て、ソハヤは嫌な気配に背を戦慄かせた。
「きょ、だい、待、」
「ここか」
「アッ!? ひっ、ま、待て……っあ!!」
指の動きが代わり、ソハヤが反応したところを重点的に攻められる。いつもの恐る恐るといった手付きからは考えられないほど激しく内壁を押し拓き、慣らしていく。
後孔を慣らしながらも、胸への愛撫も止まらない。初めはくすぐったいだけだったそれも、少しすると妙な感覚を生む。じんわりと生まれた感覚は熱となり、指の平で弄られるたびに背をぞくぞくとしたものが駆け抜けていく。脳まで駆け上がったそれはやがて全身に広がり、腹の奥をじんと痺れさせた。
身体を支配し始めたその感覚をなんと呼ぶか、想像はついた。ついたが、ここまで早くそれを感じられるようになるのだろうか、と熱を帯びていく思考の裏で冷静な部分が疑問を持つ。しかしその疑問も、すぐに四散してしまう。胸を弄るものが手から口に変わり、後孔には埋め込まれた指が増え、与えられる感覚が強くなる。
「はっ、ん、ふ……んぁ!」
「……気持ちいい、か、きょうだい」
苦しい息の合間に大典太が問う。
気持ちいい。
脳に届いたその言葉に、身体が震えた。全身を駆け巡るこの熱は、大典太に与えられる感覚は、そう、快感だ。気づかないふりをしていた答えを与えられ、結びついた言葉に腹の奥に溜まっていた熱が暴れだす。
一度も触られていないい己が自身へと熱が集まっていき、だらだらと先走りを垂れ流しながら、開放を待ちわびるように固く張り詰めていく。
「ぅあっ……、ああッ!」
後孔に埋め込まれた大典太の指の動きが激しくなる。いつの間にか足されていた液体が、ぐちゅぐちゅと酷い音を立てて耳を犯す。指は気がつけば三本も入れられており、奥底に眠る快感を引き出すように後孔の中を大典太の指が行き来する。それぞれがばらばらに動いたり、三本で良いところを強く擦られたり、その度にソハヤは嬌声とも取れる声を上げてしまう。
「兄弟」
胸の上にわだかまっていた、着たままのタンクトップをたくし上げられて鎖骨に口付けられた。そこから甘やかな痺れが広がっていく。
後孔への愛撫とは反対に、上半身への愛撫は優しい。まるで苦しさを紛らわすかのような、辛さを感じさせたくないと言うかのような優しさ。だからこそ余計に、後孔を押し拓く指の動きが性急に感じる。その指の動きも、傷をつけたり無理に押し拓くようなものではないのだろうことも、大典太の性格を考えればなんとなく予想はつく。
傷つけたくはないが、早く事を進めたい。そんな考えが表れているようだ。
――そんなに、早く帰りたいのか。戻りたいのか。
快感でぼうとする頭に、そんな言葉が浮かんだ。それは熱に浮かされる身体に冷や水を落とす。
この部屋から早く出たいのは分かる。こんな所には誰だって長くいたくはないだろう。だが、一緒にいるのは己だ。唯一の兄弟であるソハヤノツルキだ。それでも、早く帰りたいのか。
――己といるのが嫌なのだろうか。
「ソハヤ」
「ひっ、あっ!!」
指が入り切る深さまで埋め込まれた指が、ぐ、と強く内壁をひっかく。強い快感に、思考に浸っていた意識が強制的に引き戻された。

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典ソハ

成人向

満たして、もっと

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